Amber Times ~琥珀色のあるこほる~


~Barと云ふものは、琥珀色に満ちてゐる。

其れは時にウヰスキーのやうなアルコホルの色であり
其れは時にBarを照らすやうなラムプの色であり
其れは時にBarを支えるやうなカウンタァの色である。

Barで過ごす時間が琥珀色に彩られてゐるのは
すなはち時間其のものが、Barという琥珀に囚はれたために他ならない。

Barと云ふものは、琥珀色に満ちてゐる。~

旅情記 十一月十一日

み な そ こ に 水 漬 く く ろ が ね 独 り し づ か に


                 大海水 謹詠
天候:曇り時々晴れ、ところによりにわか雨。

けふから、山陰・山陽をめぐる一週間の旅に出る。
幸ひいして、天候は然程荒れることは無さそうだ。とは云へ、昨今の天気予報は中々当てにならないので、油断は禁物であらう。

一日目の広島までは羽田で乗り継いで行くわけだが、小生はどうにもこの"ひこうき"が苦手だ。もとより乗り物には酔い易い性質であるうへに(酒ならそう直ぐには酔はないと云ふのに!)離着陸に際して上下に揺さぶつて来るから閉口する。
臓腑を持ち上げられるやうなあの不快感は、さう/\慣れるものではあるまい。
這う這うの体で広島についたその後は、車を借りて一路、呉へ。

今回の旅では、呉の鎮守府跡を見に行くのが目的の一つでもあつた。
今は大和ミュージアムと名を変へて、戦史博物館になつてゐる。
まずは入り口で、戦艦陸奥の主砲、41サンチ砲の威容に打たれる。

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この41サンチ砲は恐ろしいほど巨大で、カメラに収まりきらない。他にもスクリューやメインアンカーなどが並べて設置されており、ビック7と呼ばれた弩級戦艦、陸奥の巨大さが良くわかる。41サンチ砲でさへこの威容だ。大和級の46サンチ砲の大きさは如何ばかりか。

中に入れば、1/10スケールの戦艦大和の模型が出迎えてくれる。実に迫力満点。もしこれが実物大であつたら、などとゼイタクな愚痴さへこぼしたくなる。また、往時の戦艦、空母、重巡、駆逐艦たちを写した写真やさまざまな資料、零戦や実物大の九一式徹甲弾、三式弾なども目を引く。模型も数多く展示されており、小生を魅了すること夥しい。

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嗚呼、如何して軍艦とはかくも美しいものなのか。機能美と云ふ言葉が実に相応しい。

勇壮にして美麗。

別段小生はマニヤでもなければ、戦争賛美者と云ふわけでもないが、かう云ふものに心惹かれてしまうのは、男子特有のある種の病気のやうなものだろう。

しかし、数ある展示品の中でも、小生がここで一番見たかつたのは、とある経緯で寄贈された戦艦長門の軍艦旗だ。

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当時の長門の写真と、少し色あせた旭日旗を前に、粛然として襟を正し、暫し黙祷。

この艦の最期の姿を想うと、おのづから胸にこみ上げてくるものがある。

長門に限らず、艦の最期の姿を写した写真の数々は、そのどれもが小生の涙腺を無闇に刺激して剣呑だ。

東シナ海に沈んだ大和の調査記録や、引き上げられた遺留品達を見たとき、何より海底で静かに朽ちていたあの艦首の菊花紋が映像に映し出されたときは、堪え切れず不覚にも目頭が熱くなつたことである。

当世に生きる小生ですら、かくも惹かれ、心動かされるのだ。当時国民的人気を博していた長門や陸奥、そして大和や武蔵を見た人々は、どれ程心奮わせたことだらう。

やはり、戦艦大和と云ふのは、日本人にとってさまざまな意味で"象徴"なのだらう。
それが善いことなのか悪いことなのか小生には判断できないし、また敢へて善し悪しを断ずる必要も無からうが。

テーマ : 国内旅行記
ジャンル : 旅行

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